我那覇くんの恋と青春物語~横西めぐみ編~

「今はそのことは関係ないのだ・・・昨日は・・・すまなかったのだ・・・」


西園寺さんがここまではっきり謝ることは、二年の付き合いのなかでもかなり珍しい。

ましてやエア絡みでは、謝ったことなど一度もなかったはずだ。


「いや、俺は別に何もしてないよ」


「今までのことも含めてなのだ!あと・・・横西・・・・・・さんにも、悪かったのだ」


「えっ」


西園寺さんが横西さんに、『さん』を付けた。



例え、先輩だろうが関係なく呼び捨てか貴様と呼んでいた西園寺さんが『さん』を付けた。



小さい声だったが、確かにそう言った。


「やつの気持ちなど考えず・・・きっと、今までもずっとそうだったのだろう」


「・・・」


「でも、貴様も悪いのだ。すずたちの気持ちも全く気付かず、のうのうと高校生活を送るなど鈍感にもほどがあるのだ」


言葉の一つ一つが目まぐるしく頭の中で回り、何がなんだか訳が分からなくなる。



横西さんの気持ち?



西園寺さんとエアの気持ち?


「やつ・・・横西・・・さんをすずたちと同じ場所に立たせられるのは、貴様次第なのだ」


同じ場所・・・



昨日、横西さんが言っていた言葉で、自分は違う場所にいると言っていた・・・


「貴様には分からないだろうな・・・横西・・・さんには、悪いことをしたと言っていたということは、伝える必要はないのだ。ただ、すずたちと同じ場所に立たせてあげてくれなのだ」


そう言って、西園寺さんは屋上から去っていった。