あれだけ開けようとしていたドアだけれど、今は早く閉まってほしいと願っている。
しかし、その思いは届かない。
闇の中ボンヤリと浮かぶ車掌さんは、ゆっくり、ゆっくりとこちらへ歩いてきているのだ。
それはまるで動く歩道に乗っているように、スーッと滑るように近づいてくる。
人間らしさのない動きに、ゾクゾクと背筋が寒くなる。
そして……足音もなく、車掌さんはこちらの車両へと移動してきた。
凍り付くほどの寒さが車両に流れ込み、あたしは愛奈を抱きしめるてに力を込めた。
車掌さんの足元をみてみるが、長いスーツに隠れて見えない。
足が存在しているのかどうかもわからない、不気味さだ。
あたしたちは一言も声を発せないまま車掌さんは車両の中央まで移動し、そして止まった。
シンと静まりかえる車内。
この異様な状況で、誰もが車掌さんの存在を見つめていた。
その時だった。
車掌さんは、体を一切動かさず首から上だけをグルリと回転させて車内を見回したのだ。
「うわぁぁぁ!」
朋樹が悲鳴を上げる。
愛奈は小さく叫び声をあげ、あたしの胸に顔をうずめた。
あたしは……その光景から目をそらす事ができなかった。
しかし、その思いは届かない。
闇の中ボンヤリと浮かぶ車掌さんは、ゆっくり、ゆっくりとこちらへ歩いてきているのだ。
それはまるで動く歩道に乗っているように、スーッと滑るように近づいてくる。
人間らしさのない動きに、ゾクゾクと背筋が寒くなる。
そして……足音もなく、車掌さんはこちらの車両へと移動してきた。
凍り付くほどの寒さが車両に流れ込み、あたしは愛奈を抱きしめるてに力を込めた。
車掌さんの足元をみてみるが、長いスーツに隠れて見えない。
足が存在しているのかどうかもわからない、不気味さだ。
あたしたちは一言も声を発せないまま車掌さんは車両の中央まで移動し、そして止まった。
シンと静まりかえる車内。
この異様な状況で、誰もが車掌さんの存在を見つめていた。
その時だった。
車掌さんは、体を一切動かさず首から上だけをグルリと回転させて車内を見回したのだ。
「うわぁぁぁ!」
朋樹が悲鳴を上げる。
愛奈は小さく叫び声をあげ、あたしの胸に顔をうずめた。
あたしは……その光景から目をそらす事ができなかった。