夢なら早く覚めてくれればいいのに、あたしの目は一向に覚めなかった。


時間の感覚はどんどん麻痺していき、暗闇に閉じ込められてから何日も経過しているような錯覚を覚える。


「もう少し、あたしたちの共通点を探さない?」


重たい沈黙を破ったのは愛奈だった。


「共通点?」


あたしはかすれた声で聞く。


「そう。あたしたち、今日の記憶がとても曖昧だよね? だから、もう少し前にさかのぼった事を思いだしてみない?」


もう少し前にさかのぼった事……。


あたしは自分の記憶をたどり始めた。


昨日の事も、その前の日の事も、正直曖昧にぼやけてしまって思いだす事ができない。


でも、更に昔の事なら……。


「あたし、学校でテストを受けている時の記憶があるわ」


あたしはそう言った。


「テスト?」


「うん。確か一学期の期末テストだよ」


「あ、それ俺も受けた記憶がある」


そう言ったのは旺太だった。