あたしはいつの間にか後ずさりをしていたみたいで、椅子に足がぶつかった。


「あたし……気持ち悪い……」


そう呟き椅子に座る。


「おい、これどうするんだよ一体!!」


朋樹が叫ぶ。


「そんなの知らないわよ!」


愛奈が悲鳴に近い声で返事をする。


誰も澪が落ちて来た窓に近づくことはできなかった。


「このままにしておくしかないだろう」


青い顔をしているが、旺太が冷静にそう言った。


その言葉に、みんなの視線が旺太に集まる。


「気持ちの悪い死体をこのまま置いておくの!?」


愛奈が叫ぶ。


その目には涙が滲んでいる。


「じゃぁお前が掃除するのか? 得体のしれない闇の中に出て、澪の死体を移動させることができるのか!?」


旺太が声が荒げて言った。


誰も、そんな事はできない。


愛奈はグッと言葉に詰まり、澪の死体を見ないように視線をそらした。