あたしは真っ暗な闇の中、落ちていた。


みんなと一緒にこの電車に乗り、そして一番最初に思い出してしまったあたし。


思い出せば、外に出るしか道はない。


あるいは、あの場所で同じ苦しみを味わって死ぬだけだ。


残った仲間たちに電車内の空間がなんなのか、それを教えている時間はない。


すべてを思い出した人間は、なんの猶予も与えてもらえず苦しみながら死ぬ運命にある。


だからあたしはそれを避けるため、自分から外へ出た。


この先に死が待っていると知りながらも、苦しむよりは何倍もマシだとわかっていたから。


長い長い暗闇を落下しながら、あたしは自分の右足に痛みを感じ始めていた。


それは懐かしさを感じる痛み。


元々足が悪く、成長にも影響している病気だったためあたしは身長が低いままだった。


歩くときは足が外側へと曲がるから、ゆっくりしか歩けない。


先天性の骨の変形なのだと医師に言われていて、治療も行っていた。


だけど、治る見込みはほぼない病気だった。


それでもあたしは一生懸命に生きていた。


周囲は優しい人ばかりであたしを支えてくれていた。


だからあたしは自分にできる勉強をめいっぱい頑張っていたんだ。


おかげで県内でもかなり有名な青空学園に入ることができた。