あれがきっと、あたしに現れた体の異変。


「あたしは……」


そう言いかけた瞬間、愛奈の悲鳴が車内に響き渡った。


ハッとして振り返ると愛奈はその場にうずくまり、ガタガタと震えているのだ。


「愛奈!!」


あたしは慌てて愛奈に駆け寄った。


「愛奈、どうしたの!?」


こんな状況にいて朋樹までいなくなってしまって、ついに耐えきれなくなったのかと思った。


でも、違う。


愛奈がこれほど叫びたい気持ちが、あたしには全く伝わってこないのだ。


この空間では感情も共有させるはずなのに……愛奈は今たった1人で恐怖に震えている。


「愛奈、あたしの声が聞こえる?」


あたしは愛奈の体を背中から抱きしめ、声をかける。


「愛奈、しっかりしろ!」


旺太も後ろから声をかけた。


しかし、愛奈にはあたしたちの声が届いていないようで、虚ろな目で空中を見つめている。