…そんなある日。
仕事中、今日も由紀とペアでこなしていた。
「…由紀ちゃん、これ、このまま階段で詰所持って行ってくるね」

「軽いとはいえ、そんなに大きな箱、一人で大丈夫?」

心配そうな顔で、由紀が雪愛に言う。雪愛は笑顔で頷いた。

「包帯しか入ってないから、大丈夫」

そう言うと、箱を抱え直し、雪愛は階段で下の階の詰所に箱を運ぶ為、階段を降りた。

…。

間もなくして、その階の詰所に戻る由紀の耳に、階段の方から、物が落ちる音が聞こえ、慌ててかけて行った。

「…雪愛‼︎」

階段に、由紀の叫び声が響いた。

由紀の声に、何事かと周囲の人が集まってきた。

「…雪愛、大丈夫?」
「…つっ!大丈夫、…でも、足捻った、みたい」

痛みに耐えながら、苦笑した雪愛に、由紀は、溜息をついた。

「…腫れてるな」
「「…三条先生」」

野次馬につられて、ここまできた三条先生は、雪愛を軽々と持ち上げると、処置室に連れて行く。

…その光景に、誰もが思っていた。

噂は本当だと。