「…雪愛の部屋は片付いてたよ」
「…必要最低限か、綺麗にしてますよ。急な来客の時困りますから」

「…洗濯だって、してるだろ?」
「…まぁ、それなりに」

「…雪愛の料理だって、すごく美味しい。だから、今のままで、十分だろ?これ以上無理する必要なんてない。別に俺は、雪愛を家政婦として傍に居て欲しいなんて言ってるわけじゃない」

「…そうですけど」

「俺もずっと一人暮らししてきたんだから、雪愛が一人で全部する必要ない、おれもするから。そんな心配しなくていいから、おいで」

言い終わるなり、蘇芳先生は雪愛をスッポリと包み込んだ。

「…それに…」

蘇芳先生の意味深な言葉に、雪愛はそっと顔を上げた。

「…雪愛のアパートは、セキュリティがないに等しい。それに比べて俺の住むマンションはセキュリティが万全だ」

「…蘇芳先生?」

…不思議がる雪愛に、薫子先生の今迄の行為を、全て話すと、雪愛は怖くなった。

「…雪愛を守るには、ここにいてもらう方が、安心だ。病院は、俺もいるし、居なくても、人は多いから安全だと思う。…俺と付き合わなければ、こんな大変な思いさせなくて済むのに…でも、どうしても雪愛だけは手放せない…こんなにも雪愛を求めてる。…こんな俺と付き合うのは、イヤ?」