「…分かった」
「え?・・・・・・・・」

…今何が起きたのか?

あまりに突然の出来事に頭がついてこない。

「・・・これでいいだろ?もう、君は、俺のモノだ。何も気を遣う事はない。という事で、ご飯の件は宜しく」

そう言い捨てると、何食わぬ顔で、蘇芳先生は行ってしまった。


誰もいなくなった屋上。…雪愛は、自分の唇にそっと触れた。


…蘇芳先生は、雪愛に、キスをした。…雪愛の、ファーストキスだったのに。


「・・・何が、俺のモノよ!!!私は物じゃないっての!!!もう!私のファーストキスを返せ!」

雪愛は、誰もいない屋上で、1人叫んでいた。

・・・後に残ったのは、どうしようもないくらい切ない、虚しい気持ちだけ。


「もう…最初のキスは、好きな人とって思ってたのに~・・・」

力なくそう呟いた雪愛は、流れた涙をゴシゴシと何度もぬぐっていた。


…蘇芳先生の行動は、雪愛には、到底理解できないものだった。好きでもない女の…好きでも無い料理が食べたいなんて、いくら体調管理の為とは言え、キスなんて事・・・

ああ見えて、蘇芳先生は、女慣れしてるのだろうか?

・・・男慣れなどしていない雪愛にとって、蘇芳秀明は、不可解な人物に見えてならなかった。

「誰が行くもんですか!」

と、嘆きながら・・・・