・・・その後、蘇芳先生は、当直室で仮眠をとり、夜の当直に備えた。医者と言う者に、休息と言う時間はないのか?近年、医者不足で、どこの病院も、医者たちは、寝る間も惜しんで働いている。

雪愛は思う。・・・蘇芳先生に、もっと休む時間があればいいのに、と。

…遅出を済ませた雪愛は、朝、約束通り、三条先生に連絡して、外の喫茶店で待ち合わせをした。

「…待たせてゴメンね」
「いいえ、三条先生もお忙しいんですから、気にしないでください」

そう言って笑顔で首を振る雪愛。それを見た三条先生も笑顔を向けた。

「どこか、ご飯でも食べに行く?」

その問いに、雪愛は首を振った。

「…そう、じゃあ、早速だけど、本題に入ろうか?」
「あ・・はい、あの「ご注文はお決まりになりましたか?」

・・・・。

タイミング悪く、店員がオーダーを取りに来た。

三条先生は苦笑いをして、注文をする。

「ホット一つ、・・・雪愛ちゃんは?」
「え、あ、じゃあ、ミルクティーを」
「じゃあ、それもお願い」
「かしこまりました」

・・・・。


「…間の悪い、店員だね」

そう言って笑う三条先生に、雪愛も同調した。

「…それで、話しって?」
「え・・・その、・・・蘇芳先生の事、なんですけど」

蘇芳先生。その名前が出た途端、三条先生の表情は強張った。