次の日の朝。目を覚ました雪愛は、自分を抱き締めたまま、スヤスヤと眠る蘇芳先生が目に飛び込んできて、ボッと、顔が赤くなった。

…急展開に次ぐ急展開に、雪愛の心は相変わらず夢見心地。

でも、今目の前にいるのは紛れもなく蘇芳先生、その人で、これは現実なんだと思い知る。

雪愛は、まだぐっすり眠る蘇芳先生の広く温かな胸に擦り寄った。

蘇芳先生は、とてもいい香りがする。

病院勤務だし、香水なんて物はつけていない。だとしたら、シャンプーか、はたまた柔軟剤の香りか。いずれにせよ、雪愛は、この香りが大好きになった。

「…髪がくすぐったい」
「…‼︎」

その声に驚いて離れようとした雪愛だったが、蘇芳先生がそれを許さなかった。

「…雪愛は、柔らかくて、抱き心地がいい」
「なっ⁈…そんな恥ずかしいことを、サラッと言わないでください」

顔を真っ赤にして、雪愛は反論する。

「…本心を言って何が悪い?…このまま、ずっと、抱き締めていたい」

そう言いながら、蘇芳先生は、雪愛をぎゅっと抱き締めた。