「…雪愛ちゃん」
「…はい?」

雪愛の目の前で止まった三条先生が、真剣な眼差しで、雪愛を見下ろす。

雪愛は何事かと、黙ったまま、三条先生を見上げた。

「…俺さ、雪愛ちゃんの事が好きなんだ」

突然の告白に、目を見開く雪愛。

「…突然こんな事言われたら驚くよな。…でも、本気なんだ。もし、雪愛ちゃんに好きな人がいないなら、俺と付き合ってほしい」

「…えっと、あの…「まだいいよ」
「…え?」

困惑する雪愛を、三条先生は止めた。

「…今すぐの返事はいらない」

…断られるのを想定していたのか、三条先生が言った。

「…よく考えてほしい」
「…三条先生」

「…同じ職場の子だけは、好きにならないって決めてたんだ。…でも、雪愛ちゃんだけは、諦められそうにない。それくらい本気だって事、分かってて」

そう言って微笑んだ三条先生に、雪愛は困惑するばかりだった。

…こんな時に、ふと、蘇芳先生の顔が浮かんだ雪愛。

そのせいで、何も考える事が出来なかった。