週末まで遅出と早出を交互に勤務した雪愛。その間、蘇芳先生にはあまり会う事がなかった。

蘇芳先生は、立て続けにオペがあり、病棟に顔を出すのは早朝か夜だけだった。

蘇芳先生に会えなくて、嬉しいような寂しいような、複雑な気持ちになる雪愛。

でも、なぜそんな気持ちになるのか、雪愛自身分からずにいた。

そんな時、三条先生から、食事の誘いがあった。断ろうと思ったが、どうしてもと言われ、仕方なく行く事に。

…日曜日。日勤を終えた雪愛を、お休みだった三条先生が迎えに来てくれた。

「…ナース姿もいいけど、私服もいいね」

車に乗るなり、そう言った三条先生に雪愛は困ったように笑った。

「…私は、ナース服の方が良いです」
「…なんで?」

「選ぶ必要がないから」

と、とても真面目な顔で言うので、三条先生は、思わず吹き出した。

「ハハハ…確かにそうだよね。俺も、白衣の方がいいかも。でも、雪愛ちゃんのその可愛い私服姿は捨てがたいな。これに懲りずに、これからも時々見せてね」

三条先生の言葉に、雪愛は苦笑いした。

…2人きりの空間は、何だか落ち着かないから。