食事介助やオムツ交換を済ませ、やっと一息ついた頃、内線が鳴って、榊さんがそれに出た。

「はい…はい…分かりました。直ぐに向かわせます」

内線が終わり、受話器を置くと、溜息をついた榊さん。

「どうしたんですか?」
「さっき救急車の音聞いただろ?交通事故らしくて、何人か搬送されるんだけど、人手が足りないから、ヘルプに来いって、雪愛ちゃんご指名」

「えっ⁈私ですか⁈」
「うん、悪いけど宜しく」

「…はい。行ってきます」

蘇芳先生を嫌がってる場合じゃない。雪愛は小走りに救急外来に向かった。

そこには、たくさんの血を流し、唸ってる人や、意識のない人、数人の怪我人が搬送されていて、三条先生も処置に当たっていた。

救急専門の看護師に指示を仰ぎ、雪愛も補助をした。

…大分落ち着いてきた頃、雪愛の目に、1人の男の子が隅のベンチに座り泣いてるのが見えた。この子も、車に同乗していたんだろう。あちこちすり傷や切り傷があり、雪愛は処置セットを持つと、男の子の側に行き、しゃがみ込んだ。