「…ゴメン、起こしたな。…でも、寝るなら布団に入らないと風邪をひく…雪愛?」

また抱き締めてもらえたことが嬉しくて、雪愛は蘇芳先生に抱きついた。蘇芳先生は少し驚きつつ、雪愛を抱き留めた。

「…秀明さん」
「…ん?」

「お帰りなさい」
「…ただいま…雪愛」

「…はい?」
「…今日はゴメンな」

蘇芳先生の謝罪に、雪愛は蘇芳先生を見上げた。

「…話を聞かなくて、ゴメン」
「…秀明さん」

「…今夜は遅いから、またちゃんと聞くよ」

「…ありがとう」

ホッとした顔をして、雪愛は頷いた。

「…あ、ご飯」
「…いいよ、自分で出来る。雪愛は先に寝てろ」

そう言うと、蘇芳先生は雪愛をベッドに寝かせ布団をかけた。

その夜、雪愛は長い時間眠れた。愛が起きなかった事と、蘇芳先生が抱き締めてくれていたから。

蘇芳先生の腕の中は、雪愛を癒してくれる。

次の日の朝は、清々しく起きる事ができた。

「…おはようございます」
「…おはよう」


「…愛は起きなかったな」
「…はい、久しぶりによく眠れました」