…その後、つわりは軽かったが、貧血が良くならず、雪愛の体を心配した蘇芳先生が、病院を辞めるよう説得したが、雪愛はどうしても働きたいと言う。

…そんな中、蘇芳先生の実家へ挨拶に行く事になり、二人は車で実家に向かった。

「いらっしゃい。待ってたのよ。…貴女が雪愛さん?」

最初に出迎えてくれたのは蘇芳先生のお母さん。ふくよかで、笑うと蘇芳先生に少し似てる。

「…はい。初めまして島崎雪愛です。今日はお招きいただきありがとうございます」

そう言って頭を下げると、お母さんは優しく微笑んだ。

「さぁさぁ、早く入って。立ち話も辛いでしょう?大事な体なんだから」

「…あの」
「…どうかした?」

招き入れてくれるお母さんに、雪愛が言う。

「…結婚もまだなのに、その、順番が逆になってしまって、すみません」

雪愛の謝罪に、お母さんはクスクスと笑った。

「いいのよ」
「…え?」

「…だって、私も結婚より、妊娠の方が先だったから…それに、もし謝らなければいけないなら、雪愛さんより、秀明でしょう?大事な娘さんを妊娠させたんだから」

お母さんは、そう言って蘇芳先生を見ると、蘇芳先生は苦笑するしかなかった。