…もう、何もかもどうでもいい。

今の雪愛はもぬけの殻。ただ、仕事をしている間だけは、いつもの雪愛だった。

でも、病院から一歩外に出ると、魂が抜けたように、笑顔すらなくなって。

そんな雪愛の異変に、由紀が気づいた。

「…お疲れ様」
「…お疲れ様」

笑顔も無く、返事をする雪愛に、由紀は眉間にしわを寄せた。

「…今日は、雪愛のアパートに泊まるから」

そう言い切った由紀を見て、雪愛は困惑の表情。それでも由紀は知らん顔で、雪愛の手を取ると、アパートに向かって歩き出す。

アパートに着くと、雪愛をソファーに座らせ、勝手に冷蔵庫を開けると、せっせと料理を作っていく。

…気が付けば、テーブルの上は、料理で一杯になっていた。

「…由紀ちゃん、こんなにたくさん食べられないよ」
「何言ってるの⁈これくらい食べなきゃだめよ。雪愛、ご飯もまともに食べてないでしょ?痩せたよ?」

由紀の言葉に、雪愛はなんとも言えない顔をした。

「…ほら、とりあえず食べよ!」

由紀に促されるまま、雪愛はそれを食べた。