蘇芳先生の行動に腹が立ち、運転中の蘇芳先生を睨む雪愛。

「…なんて、強引な人なんですか?私は行くなんて、一言も言ってませんけど?」

「…」

「私なんかの料理ではなく、彼女にでも、料理してもらえばいいじゃないですか?」

…赤信号で止まり、ようやく蘇芳先生が口を開いた。

「…彼女なんていない。そんなもの、作る必要性がなかった」
「…」

蘇芳先生の言葉に、眉をひそめる。

「…俺は今、君を必要としてる」
「…え」

思いもよらない言葉に、目を丸くする雪愛。その顔をチラ見した蘇芳先生は、ほんの少しだけ笑う。

…それを見た雪愛は、心臓が飛び出るほど驚き、それと同時に、頬を染めた。

…元々イケメンの蘇芳先生だ。その笑顔の威力は絶大だ。…カッコ良すぎる。

「…なぜ、私が必要なんですか?」

ジッと蘇芳先生を見つめたまま、問いかけると、信号が青に変わり、車が動き出した。

「…美味かったから」

「……へ?」