…それから更に一週間の月日が流れ、三条先生の診断通り、雪愛の足は完治した。

そして今日から、仕事に復帰する。

…甘い甘い、同棲生活も、終わりを告げようとしていた。

「…仕事が終わったら、駐車場で待ってる」

三条先生と廊下ですれ違う際、すれ違い様に言われ、雪愛は唇を噛み締めた。

…答えを出す時が来たのだと。

外科の外来を担当する雪愛は、動揺を見せないように必死だった。

蘇芳先生とペアだったから尚更だ。

ただ、蘇芳先生の指示に忠実に仕事をこなしていく。笑顔も絶やさず、いつも通りに。

…仕事を無事に終え、先に帰る雪愛。蘇芳先生は今夜も遅くなると言っていた。

カバンを握りしめ、駐車場に向かうと、三条先生の車が見えた。

助手席の窓を叩くと、窓が開き、入るよう促された。雪愛は頷いて、車の中へ。

「…答えは決まった?」
「…」

「考える時間は十分にあったはずたよ」
「…ちゃんと決めましたよ」

視線を合わせることなく雪愛は言う。三条先生も黙って、雪愛の言葉を待った。


「…蘇芳先生とは、別れます。だから、蘇芳先生を、この病院にいさせてください」

「…それが、雪愛ちゃんの答えなんだね?」

「…はい」

「…泣かないで、頼むから」
「…泣いてません」

雪愛。乱暴に自分の目をこする。三条先生は雪愛の手を掴んだ。