「…蘇芳先生、診察のお時間です」

医局にいる、蘇芳秀明先生を呼びに来た。

「…また、あんたとコンビか」

そう言って溜息をつく蘇芳先生。

「…何かご不満でも?」

イヤミたっぷりにそういえば。

蘇芳先生は、不機嫌な顔で、椅子から立ち上がる。

「…他の看護師をつけてくれたらありがたい」

ボソッと呟いて、白衣を翻し、雪愛の横を通り過ぎる。

べーっだ!

そんな蘇芳先生の背中に思いっきりあっかんべーをしてやった…だけど、クルッと振り返られ、雪愛は顔面蒼白。

「…さっさときたまえ」
「…は、はい」

バツの悪い顔をしながら、雪愛は蘇芳先生の後ろを追いかけた。

…すっご〜く、イケメンな蘇芳先生。

外科医としては、右に出る者はいない程。ここ、三条総合病院で、蘇芳先生に、手術をしてもらおうと、沢山の患者が押し寄せる。

…ただ、蘇芳先生には、一つ欠点がある。

無口で、いつも不機嫌。笑顔なんて微塵もない。

…しかも、何故か、雪愛が蘇芳先生に嫌われているという事。