涙味CANDY

父と母は、私が産まれる頃には離婚していた。

母は、たまにしか帰ってこない。

母の口癖は、こうだ。

「あなた達のために働いているのよ」

母は、仕事のストレスをお姉ちゃんに当てる。

いや、誰でもよかったのだと思う。

お姉ちゃんは、私が母に暴力を振られないよう、母が帰ってくると私を押し入れに隠した。

人を殴る鈍い音は、私の耳にも届いた。