「南沢高校だよね、その制服」


人差し指をピンと張って伸ばした先は私の紺色の制服。


「そうですけど…」


素直にそう答えた。


別に悪い人じゃなさそうだし、嘘をつく必要なんてないと思ったから。


「やっぱり、見たことある気がしたんだ。俺は北沢高校1年、柏木 伊月(いつき)」


同い年なんだ…


大人っぽい雰囲気だから先輩だと思ってたけど。


「私は、永瀬 しおり。1年生です」


緊張してうまく伝えられたか分からなくてうつむいてしまう。


でも、彼…柏木くんは私の声を全部拾ってくれた。