「それにしても本当に驚いたよ、千鶴さんが新山さんだったなんて」 「隠してたつもりはないんですけど、永瀬さんが、私のこと覚えてないようだったので」 確かに、雰囲気が違ったし、新山さんの下の名前は正直覚えていなかったから、敬語口調で話していても、同一人物だとは気づかない。 「でも、よかった。また、新山さんに会えて」 「…そうですか?」 千鶴さんは、首をかしげる。 「うん。ちゃんと話せていなかったから、ずっと心残りで、もやもやしてたんだ」