「………拓海」 ほら、やっぱり。 キミは、そこにいるんだ。 声に振り返って、驚いた顔で、こちらを見上げる。 「え、なんで、ここにいるって、知って…」 「何でだと思う?」 「…は?何でって。こっちが聞いてんだけど」 ちょっと伸びてきている拓海の短い髪が、大きな手によってくしゃくしゃにされる。 これが、照れているってことは、長い付き合いで分かってきた。