「奈南、余計なお世話かもしれないけど、
俊哉くんのことはもう
忘れた方がいいと思うよ。
好きだから信じたい
っていう気持ちは分かるけど、
勇気を持って手放すことだって大事だよ」
お姉ちゃんは突然優しい言い方になった。
そして、
ちょっぴりしょげている私の隣に来ると、
一呼吸おいて、
あの写真立てをパタンと伏せた。
「諦めなきゃ、
前に進めない時だってあるよ」
そう言うと、私の肩をポンと叩いて、
お姉ちゃんは仕事へ出かけていった。
チラッと見えた横顔は、
とても寂しそうで、
彼氏と別れたばかりの私なんかより
よっぽど傷心なんじゃないかと思った。
