当たり前だ!と言わんばかりに正座して、早く帰せと催促しながらにらむ。



「…流石に風呂中の奴を誘拐したのは間違いだったか。
そんなんじゃ警察も呆れるだろうな」

「あっ、あのねぇ!?勝手に誘拐したのは貴方でしょうが!寒いし!」



タオルからはみ出ている肩とか腕をさすっていると、誘拐犯さんは少し薄汚れたジャンパーを投げた。

それは綺麗に私の膝に。



「ギャーギャー喚くな!それ羽織っとけ!」

「お、おう…って、素肌にジャンパー生地とか気持ち悪…ッ。ジャワジャワしてる」

「ジャワジャワってなんだよ」



確かに、自分で言っといてなんだけど、ジャワジャワって日本語ないね。

ワシャワシャ?それは頭を撫でてるときの効果音…

とか考えていると
誘拐犯さんはようやく電話番号を思い出したらしく、ピッポッパッと電話をかけはじめた。