あいつから1本の電話があった。

「今日ちょっと来れないか?」

場所を聞いて行くとそこは病院だった。

「大蔵祐希さんですね。806号室です。」
「ありがとうございます。」

ナースステーションで言われた番号の
部屋に行くと、そこにはやせ細った祐希の
姿があった。しかも寝たきり状態で。

「呼び出して、ごめんな(笑)」

「祐希どー言うことだよ・・・」

「俺さぁ・・・死ぬかもしれない。」

「は?」

「ガンなんだとよ・・・」

「まじかよ・・・」

俺は言葉を失った。

あんなに元気だった祐希が病気になるとは
誰も思わないからだ。

「治るのか?」

「何の為にお前を呼んだんだよ(笑)」

「祐希、お前まさか・・・」

「黎蘭の事よろしく頼むな!」

「治療しないのか?」

「あぁ、親に迷惑はかけたくない」

「祐希がそうしたいなら勝手にしろ」

「ありがと、彰人」

あいつは自分が死んだら黎蘭が悲しむから
死ぬ前に俺に託したくて、呼び出したに
違いない。