屋敷に戻ると、ベッドに潜り込み、懸命に目を瞑る。

これは悪い夢。

寝たら、きっと覚める夢。

でなければ、15の誕生日なんて来なければいい……。



昔……


誕生日が近づくとワクワクした。

父さんは、貧しいながらもジャガイモでスタンプを作り、バースデーカードを作ってくれた。

勿論、そのイモは夕食の貴重な材料になったけど。

ジョージが、自分の誕生日に父さんから貰ったナイフで作った木彫りの小鳥は私の宝物になった。

そして、母さん自慢の温かいスープを囲んで、私は幸せな家族の笑顔をプレゼントに貰い、「ハッピバースデー」の歌が流れる中、ほっぺを膨らませて、小さなケーキの上に立つ蝋燭の火を吹き消した。


毎日が誕生日だったらいいのに……


そう思ってた。


なのに……

今は、こんなにも誕生日が来るのが苦痛だなんて……