両親の葬儀式は司祭様の祈りと共に滞りなく執り行なわれた。


空っぽに近い両親の柩にアリシアは花を入れると、黒いヴェールの下に涙を隠し、僕の傍らにぴったりと寄り添った。


賛美歌が流れ、鐘が鳴り響く中、復活の蝋燭を手に持った行列が、僕達家族の思い出を乗せて去っていく。


「ジョージ、私、かえりたい」


アリシアが小さな声を震わせた。


「もうちょっとで式は終わるからね」


周りに集まった大人達は、幼いアリシアを小声で嗜めたが、僕は知っていた。


アリシアは、幸福だった時間へ戻りたがっていたのだと。

僕は小さなアリシアの肩を抱き寄せた。


僕は父さんの壊れた腕時計を、アリシアは母さんの形見のロザリオを握り締め、冷たい土の中へ還っていく両親の最期を見届けた。