「んー。」
ぬくぬくしてるお布団、たまらん。
もっと寝る。
寝返りを打った私は何かにぶつかる。
邪魔やな。落としてやろう。
ドサッ
「いてー!」
なんか人の声がする。
知らん、どうせ夢だ。
「起きろよー」
揺すぶられる。眠いんだよこっちは。
怒ろうと思って目を開けると…
「誰ー!!!」
慌てて起き上がる私の眼の前にいたのは、今まで見たことのないレベルのイケメンやった。眉目秀麗っていうの?
色白やし、目はクリクリやし、鼻筋通ってるし、腹立つわー。
私に分けろ!
「って誰ー?」
もう恐ろしい。
「佐藤だけど?」
昨日なにしてた?あ、合コンだ。
合コンいつもの通り、ネコかぶってる。あ、ネコかぶってるの指摘してきたやつおったやん。飲みに行ったよ、そやつと。
「は?あの暗めなとなりの佐藤?」
「暗めかは別として、佐藤だけど?」
洋服は着てる。大丈夫やったー。
「昨日なにあった?」
「お前潰れたから俺の家に持って帰った。」
「ゴメイワクヲオカケシマシタ。」
「片言すぎ。」
いや、潰れたことなかったんだけど。
「じゃあ、朝ごはんでも作ってしんぜよう。」
「どーも。」
朝はしっかりフルーツと野菜をとることをモットーにしている。
「れっいぞうこ♪」
って、開けてもなんもないやん。
「お主、日頃なに食べてるんや?」
「え、適当。」
「不健康だな、おい。」
っつーことで買い物行くかー!
コンビニでもいいから食材ないと無理だし。
昨日の服のまんまだが妥協だ。
ふんふふんふふん。
「ちょい待て。」
ドアを開けて家を出ようとした私を佐藤、妨害中。
「なんーや?」
「どこ行く?」
「食材ないもん、食べないと死ぬもん。」
「…わかった、俺も行く。」
「はーい。って、え?」
この寝起きで機嫌の悪そうな佐藤が出かけられるのか?
「出かけられるから。」
「あ、またつぶやいてましたか。」
「うん。」
恥ずかしい、吉野香菜子一生の不覚。

