明日香side



「もう明日香ー遅刻するぞ!」


「待って!前髪が決まんないの!」


「前髪とかどうでもいいだろーじゅーきゅー」


「あーまってまって!おわった!」


私の日常は、いつもこんなやりとりで始まる。



ローマ字でさくらバスケ部って書いてあるリュックからって、幼馴染の直哉の自転車の後ろに乗る。


「明日香ー直哉くんいってらっしゃい!」


「お兄ちゃん!いってきまーす!」


ひとつ上で同じ高校に通う私のお兄ちゃんの吉田望。


お兄ちゃんはあとから登校する。


優しくてかっこよくて、唯一の私の家族なの。