教室の前で大きく深呼吸する。

「スゥーはぁ…。」

「あのぉ~。時雨先輩はどこにいますか?」

廊下でしゃべっている近くの先輩に聞く。

「あー。時雨ね。ちょい待ってな!」

「はぃ....。」

一人の先輩が教室へ入っていく。

すると、もう一人の先輩が....

「なに、あんた時雨に告んの?」

この人はとても鋭いな。

「ぇ!?あっ...告白というかなんというか...。」

と、曖昧な返事をすると。

「ふぅーん。そぅ。」

「あ、あのぉっ...」

ジロジロと見られてオロオロしていると。

「フッ」っと鼻で笑われた。

「ま、時雨には気を付けな!女グセわりぃーから手はだされるぞぉー。」

さっきの真剣な顔とは裏腹にふざけた声で言う。

「なっ!?」

私は言葉をのみ、心の中で叫んだ。

「(手を出すって!?時雨先輩はそんなことしない!)」

「おぉーい。」

気づいたら真横に時雨先輩がいた。

「な、永井先輩!!あ、!あのっ!」

「ん?」

時雨先輩は私ににっこりと笑いかけている。

私はその笑顔にこの上なくドキドキしていた。

「おぁっ、お話があります!!」

おもいっきり噛んでしまう私の頭をポンッと撫でる。

「おぅ。じゃぁ。屋上で話を聞くとしよう。」

「ぇ、ぁっ、はぃ!」

「おい、はる!先生につらいから保健室におるって言っておいて!」

さっき私をおちょくった先輩を時雨先輩は"はる"と呼んだ。女の子みたいな名前だ。

「は?なんで俺が!」

「たのむって!じゃ、よろしくー!」

はるさんの話をきかず、時雨先輩は私の手を引いて屋上へ走った。