「まや」


高林の声が耳に残る。



「もう行くぞ」



その単語に体は素直に反応し、起き上がった。



「え、明日じゃないの…?」



まだ眠くて閉じたがっている目を擦り、高林を見上げる。



「その話は後だ。まずはこの家から抜けるぞ」



フワッと体が浮く。



あたしの視線が、何故かあたしよりも高い高林と同じ高さになっていた。



あたしの靴と制服を持って、高林は外に出た。



「ちょっ、ちょっと!?何でお姫様抱っこなの!?」




眩しい月の光のお陰で、やっと脳が目覚めた。



「黙れ、バレるぞ」