「……さようなら」



あたしの小さな囁きは、隣にいる高林にしか聞こえなかった。




「結城さんがキレてる」



「麻里子さんがいるじゃん」



ユウの状態をあたしに伝えると、あたしは高林に力強く言った。



「葛城さんは市場に行った」



「麻里子さんがいないからキレてるんじゃない?」



あたしの言葉を最後に、あたしと高林との間に会話はなくなった。



高林の前だと、何だか自分が操れない。



あたしの本心を隅から隅まで見ているような気がするんだ。