一刀一矢魂を込めます!

「あ!あたし今日も友達とお泊まりだった!!」



「えっ!?」



突然のあたしの大声で、話していたユウが奇声をあげる。




「ごめん!あたし行ってくるね!明日には帰ってくるよー!!」




高林が作った夕飯も食べ終えて、あたしは外へ飛び出した。




ボチボチと先日野宿した千年桜と野原に行く。




こんなことは嘘である。




あの狭い部屋に四人も入るわけがないし、第一あたしが二人の幸せな空間に居たくない。




ユウのあの笑顔が麻里子さんではなく、自分に向けられていたら、どれほど幸せなのだろうか。



叶えもしない夢に、涙がこぼれる。




「……あたし、こんなに泣き虫だったっけなー?」




あたしの独り言は空気に溶けていった。