「…佐藤」




切なさそうにあたしの前に立っていた、高林とその後にノンちゃん。




『まや、頑張りましたね……』




ほら、恋は涙ばかりだ。




目から止まることなく涙が流れ落ちる。




あたしはノンちゃんに抱きついた。




優しくあたしを抱きしめてくれたノンちゃんに、申し訳なく微笑む。




少し時間が立って、あたしはノンちゃんから離れた。




「高林、答えを言ってもいいんだよね」




しがみつくだけのさなぎを脱ぎ捨てるかのように。




「ああ。もちろん」




生えたばかりの美しい羽を使って飛ぶかのように。




「あたしは、帰るよ」



力強く答えた。