高林は苦しんだ表情に変わった。



それほど、あたしの事で悩んでいたんだって、自惚れなのかな?思っちゃうんだ。



「俺が好きになった佐藤まやという女は、優しくて、凛としてて、我慢強くて、勇敢な女だ。
最近は甘えてくることが多くなって頼られてるって分かるけど……。
今のまやは嫌いだ。何でもかんでも理由や言い訳を付けて逃げるまやは、嫌いだ」



ドキンっと心臓が高鳴る。



ときめいた訳ではなく、ただ単に図星を差されたからだ。



「あたしは、逃げてなんか…」



「ならぶつかって来いよっ!麻里子だかなんだかと付き合うなんて誰が決めた!それを逃げてるって言うんだっ!!」



涙なんか忘れて、叫ぶ高林はカッコイイと思ってしまった。



あたしは、自分の気持ちから逃げてたんだ。




みんなに嫌われたくないから、理由なんか付けて逃げてたんだ。