一刀一矢魂を込めます!

「……俺じゃ駄目なのか?」


「え?」


「俺じゃ駄目なのか?」



立ち上がると同時に、ボソッと囁いた高林の言葉にあたしの頬が赤くなる。




「俺はずっと前から好きだった。
覚えてないだろうけど、俺と佐藤が初めてあったのは佐藤が中三の時だった」



あたしと高林の間に、記憶を蘇らせるように桜の花びらが舞っている。



「俺が初めて人間界に行った時、まやは同級生にいじめられていた。その姿をたまたま見てしまったんだ」



あたしの中三時代。


弓道のことでずっといじめられていたんだっけ?



ふと、懐かしの記憶が映り出す。



「我慢強いその性格、初めて守りたいって思った。
自分がいじめられていたのに、いじめられる子を庇って助けるその勇気」