「ノン、ちゃん……」




久しぶりに姿を見た友人の名を囁く。




その声が聞こえたのか、ゆっくりとこちらに顔だけを振り向いた。




優しい微笑みも、白く綺麗な顔も、全てが変わらない。





「ノンちゃん…!」




あたしはノンちゃんの座っている岩に駆け出した。




『…まや』




紅い唇が動き、あたしの名を呼ぶ。




あたしは問答無用で、ノンちゃんに抱きついた。




温かい温もりがあたしをそっと包み込んでくれる。




一旦引いた涙は、その温もりに再び流れ出す。




『全く、まやは泣き虫なんですから…』




トントンとリズム良くあたしをあやしてくれる。