揺れる花たちは、歌っているように見えなくもない。



ーー『まやっ!』



ーー『まや』



ーー『何かあったら言ってくださいな』



ーー『甘えていると、護りたいものも護れなくなりますよ』



白き狐との思い出が蘇る。



満面の笑みで呼ばれる名前。



透き通る綺麗な声で呼ばれる名前。



初めて喝を入れられた時。



その花たちは、ノンちゃんの笑顔のようにも見えた。




ーー『まや、あなたの祈りは届いてますよ。わたくしは楽しく過ごしております』




彼女は確かにそう言って、微笑んだんだ。