一刀一矢魂を込めます!

わかってかわかってないのか、マロは抱きついたまま話し始める。



(早く帰んねーと高林が怒ってるぞー。どうして二人は言うことを聞かないってな)




高林の真似をした。




それはとても似ていて、あたしとユウは顔を合わせて笑った。




(さあ、帰んぞー)



あたしの腕に戻ったマロは声だけ出して眠った。




あたしとユウは並んで歩き出す。



もうあの日と違う。



前にいたユウは、今は隣にいる。




ユウの精一杯のスキンシップなんだと思うと、頬がにやけてしまった。




ずっと無言だが、この空間が好きだ。




つまらなくもない、分かり合えるこの空間が。




あたしはユウの小指をギュッと握って歩いた。