「ッギャアッ!!」




女の叫び声ではない。





もう、珍獣の叫び声である。





だが、そんなことは気にしない。




『おなご……おなごの手が欲しい……』




長い髪が顔にある。






いつしかテレビで見た貞子のようだ。






そいつが、ゆったりゆったりと手で移動しながらあたしの側に近づいてくる。




反射的に後ろへ後ずさるが、背中には桜の木。




焦るあたしを見て、ニヤリと笑った貞子みたいな人はさらにスピードを上げ、あたしに迫ってくる。