夢恋・second~その瞳に囚われて~


『じゃあ私も、しっかりしないと。拓哉に守られなくてもいられるように』

私がそう言うと、拓哉はふわっと笑みを浮かべた。

『芹香はそのままでいいんだ。俺の仕事を取るなよ。俺がいないとダメなくらい弱くなればいい。ひとりじゃいられないほどにね』

私の頭をそっと撫でながら、彼は優しい眼差しで私を見つめる。

『そうなるように、うんと甘やかして守り抜くから。なにがあっても、俺のそばから離れられなくなるようにね』

深い意味も分からずにうっとりと彼を見上げる、恋愛経験のない過去の私。

……夢うつつに思い返した会話から、ようやく気づいた。今ならば分かる。
離れても、忘れられずに手を伸ばしたのは、彼が私をそんなふうにしたからなのだと。
拓哉を忘れることなど、初めから不可能だったのだ。

深い愛情で包まれ、その中で息もできないほどに溺れたならば、もうそこから抜け出すことなどできはしない。

その優しさに触れたくて、呼吸すらできなくなる。

「芹香……。愛してるよ」

昨日も今日も、そして明日も。耳元で囁かれ、私は心を満たされる。
この恋に、終わりはない。

あなたの瞳に、囚われてしまったあの日からずっと……これから先も、この夢は覚めることなどないのだろう。
あなたの腕に抱かれながら、この愛に溺れていく。



もっと私を愛して。あなたにすべてを捧げるから。
そう思いながら、その身体にギュッとしがみつく。そんな私を拓哉の熱い手が、応えるように抱きしめ返した。


もう二度と、この愛を見失わない。
ずっと、離れたりはしないから。