「続きは帰ってからか。じゃあ今日は、格好をつけない俺を見せようかな。本当は、さっきみたいにすぐに怒るし、嫉妬だってする。自分でもガキだと思うほどにね」
並んで歩きながら話す。
先ほどの会議中の彼からは想像もできない。
「見せて。全部。どんな拓哉でも、私は好きよ」
何気なく言った私を、拓哉は赤い顔で見る。
「そういうことを、今言うのは反則だよ。まだ仕事がたくさんあるのに。切り替えるのが難しくなる」
「そうね。切り替えなくちゃ。あと少し、またご指導お願いします。星野課長」
ペコッと頭を下げて言うと、拓哉は軽く頭を掻きながら正面を向いた。
「参るよ。急に変わるんだから。じゃあ早速、便の仕上げに入るか。今日は二ヵ所積みだったよね」
「はい。一時間早い出発予定です」
「完璧。もう、仕立ては指導することがないな」
「いえ。星野課長に言われたことを忠実に再現しているだけですから」
顔を見合わせて微笑む。
上司のあなたも、恋人のあなたも、全部が愛しくて尊敬できる。拓哉がいるから、私ももっと頑張れる。
あなたとここで再び出会えたことが、心から嬉しいと思う。


