そう言って逃げるように歩き出そうとした瞬間。

「やあ、おはよう」

背後からこちらに向かって聞こえてきた声。
一瞬、ドキッとする。

「佐伯課長。おはようございます」

「おはようございまーす」

皆が挨拶を返す。

私も振り返った。

そこには昨夜と変わらぬ優しい笑顔があった。

「おっ…おはようございます」

目が合った佐伯さんに私も挨拶をする。

「おはよう」

彼が笑顔で答えてくれ、ほっとした瞬間。彼の後ろを見て私は目を見開いた。

「おはようございます」

佐伯さんの背後から現れた人物が、挨拶をしながらこちらを向いてにこりと笑う。

萌たちがキャーと騒ぎだした。