「赤ずきんよ、赤ずきん、お婆様のお見舞いに行ってくれるかしら?」 そうやって私の名前を呼ぶのは、お母様。 私の名前は赤ずきんではない。 常に赤い頭巾を被っているから、お父様にもお母様にも、お婆様にも。村の子供たちにも、赤ずきんと呼ばれている。 私は、自分の顔を知らない。 生まれてこのかた、見たことは一回もない。