担当の訪問先を回り、今日は直帰することにした。
ランニングが続くかわからないから買おうかずっと迷っていたランニングシューズを購入することに決め、お店に立ち寄ってみる。

ランニング用のコーナーが設けてあったけど、何がいいのかさっぱりわからない。
メジャーなブランドのものならなんでもいいかと思うけど、決定権に欠ける。
これから朝は暗いだろうし、目立つように明るい色のものがいいか。
持ってみるとすごく軽いものもあって驚く。軽ければいいのかな。
吟味していると横から
「良かったら試着出来ますので」
と明るく声をかけられた。
まだ二十歳そこそこだろう。爽やかなルックスの男の子だ。きっとモテるだろうと自然と値踏みしながら尋ねた。

「最近、ランニング始めたばかりなんですけど、どれがいいかわからなくて」
「最近始めたばかりなんですか。どれくらいの距離走ってます?」
「えっと……一日、3キロくらいですかね」
「以前にも走っていたことは?」
「いえ、全然運動してなかったので、バリバリの初心者です」
「じゃあ、ソールが厚いもののほうがいいですね。クッション性が高いと走るときの衝撃を和らげてくれるので、足を守ってくれますよ」
そう言っておすすめというものを手渡してくれた。
確かにさっき手にした物と比べると、少し重みはある。
「軽いほうが走りやすいと思われがちなんですけど、初心者はまず怪我をしないことが大事ですからね」