頷いて、彼女の頬に触れようと手を伸ばした。
引き寄せてキスをしようとしたのだけど――。
扉が開く気配がしたかと思うと
「顕人ー!!」
と兄貴が飛び出してきて、そのまま俺に抱き着いた。
「……いや、兄貴、まじで今、邪魔」
「なんだよ。待ってたんだぞ。ていうか、お前転んだのか? 大丈夫か?」
「大丈夫だよ」
真唯子はその様子を見て、お腹を抱えて笑いだす。
扉の奥からじいさんが顔を出したかと思うとマイクを持ったまま「真唯子さんはまだ帰さんぞー!」と宣戦布告をしてくる。響き渡って、迷惑極まりない。
本当にうちの兄貴とじいさんはうるさいのだけど、こうして笑っている真唯子を見ていると、本当に何も言えなくなる――。



