甘いだけの恋なら自分でどうにかしている


「……どこにも行かないよ」
冷たい手が頬に触れた。見上げると真唯子が潤んだ瞳のまま笑っていた。

「顕といるとね、胸の中があったかくて、優しくて、明るくなるんだ。そうなるとね、周りの人もあったかくて、優しくて明るい人ばかりになるんだなって、最近気づいたんだ。幸せって循環するんだね。ありがとう。自分一人じゃ、絶対にわからなかったよ」

触れてくれた手に自分の手を重ねた。目を瞑ると、胸の中にふんわりした清らかさを感じた。
同じなのだと思った。自分の中にあるものを彼女といると感じやすいのは、同じものを持っているからだと。
明るさや清らかさや柔らかさ、優しさや温かさ――。
まだまだ自分でもわからない自分の中にある感覚を、真唯子といると知ることができるような気がした。

だから、惹かれあって当然で、こうしていることも自然なのだと悟った。

鼻のてっぺんに冷たさを感じて目を開けた。雪がまた降り始めていた。
花弁が舞い落ちてるようにも見えて、静かに息を吐いた。
真唯子は
「だからさ、それを感じているとき、私たちはいつでも繋がっているんだよ。どこにも行かないよ」
と優しく微笑んだ。