甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

永史さんはじゃあ明日また来るねと言って、帰って行った。


居間を覗いてみると「おお。真唯子さん。良かった。まだ起きていたんだな」とおじいさんが座椅子に座ってお酌をしていた。
ささ、座ってと手招くので正座した。
「どうじゃ、一杯」と熱燗を飲んでいたようで、お猪口に注いで差し出す。

「ありがとうございます。いただきます」
すっきりして飲みやすい口当たりだったので「あ、美味しいです」と思わず零れた。

満足そうな笑顔で、お猪口につぎ足すけど、さすがにこれ以上は飲んではいけない気がした。

「ぐいっと」と言うので、お風呂があるので、ご馳走様でしたと伝えようとすると、「帰って来てたのか」と、キッチンの方から顕が現れた。

「げっ」とおじいさんはまずいと言った顔をするので、吹き出してしまう。
この攻防戦がなんだか微笑ましいのは、子供の喧嘩みたいだからだ。実はちっともお互い嫌いあっていないのではないかと思う。

顕は私の隣に座ると「風呂行って来ていいぞ。よし、じいさん、飲むか」と私のお猪口を取りあげた。